ILC-2

ILC-2(Innate Lymphoid Cell type Ⅱ)

・理化学研究所の茂呂和世先生が世界で初めて報告した。


・茂呂先生が小児アレルギー学会で講演された時にご自分で紹介されていたが、元々は歯科領域で粘膜防御について研究をされている時に発見したとのこと。


・ILC-2を発見するきっかけになったのは、2001年のFort MMらの論文。

Fort MM et al. IL-25 induces IL-4, IL-5, and IL-13 and Th2-associated pathologies in vivo. Immnunity. 2001;15:985-95 (原著論文へのリンク)

元々はIL-25の機能を調べる過程だったようだ。


■IL-25(IL17E)とは
 ・Th2サイトカインの1つ
 ・Th17familyの1つ
 ・IL-4 IL-5 IL-13等、Th2サイトカインの産生を誘導し、Th2反応を惹起する
 ・Th2細胞・mast cell等が産生する


その過程で
「どうも
 ①リンパ球以外に、Th2サイトカインであるIL-5とIL-13を産生する細胞が存在するらしい。
 ②しかもその細胞は同じTh2サイトカインであるIL-4は産生しないらしい」
ということが分かってきた。
 (※ちなみに、現在は条件が揃えばILC-2もIL-4を産生することが分かってきているらしい by茂呂先生の講演)


Table1を読んで欲しい。
RAG(VDJ鎖の組換に関わる遺伝子)をノックアウトしたマウスを使用した実験だ。

google先生に教えてもらったところ、
RAG1欠損 =成熟B・T細胞が欠損
RAG2欠損 =B・T・NK全て欠損

つまり、それまで知られていたいわゆる「リンパ球」を全てノックアウトしたマウスをIL-25で刺激すると、IL-5とIL-13が野生型と同じように産生されていた。

つまり、「リンパ球以外にTh2サイトカインを産生できる細胞が存在する」ことが予測された。


・9年間、この謎の細胞の正体は不明であった。


・しかし、茂呂先生らが、腹腔内の脂肪組織に特に多く存在する「Lin(-)c-Kit(+)Sca-1(+)」なリンパ球に似た細胞が、「リンパ球以外でIL-5・IL-13を産生する細胞」の正体であることを突き止め、2010年1月のNatureに掲載された。



・ちなみに、3か月差で、Neill DRらもその細胞についての発表を行っている。
 タッチの差で茂呂先生のグループが世界初。うぉー危ねー


・つまり、僕が医学部で習ったリンパ球の分化は過去のものになってしまった。


・以下、茂呂先生の教育講演で習った聞きかじり。


・リンパ球は、
 抗原を認識する=抗原特異的な、いわゆる「リンパ球」と、
 抗原を認識できない=抗原特異的でない、「自然リンパ球」(ILC)に分かれる。


・ILCは、産生するサイトカインによって区別される。
 ILC-1: IFN-γ
 ILC-2: IL-5 IL-13 (特定条件下でIL-4)
 ILC-3: IL-17 IL-22


・ILCは、リンパ球と共通の幹細胞から分化してくるが、どのタイプに分化するかは、どの転写因子が活性化されるのかによる。
 ILC-2の場合は、GATA3である。
 なぜか、サーカディアンリズムを司る時計遺伝子である「E4BP4」がここを制御している。
 なぜ?


・自然リンパ球が存在する意義は、
 のんびり抗原特異的に反応しているようでは間に合わないような、生体に対する緊急事態が起こった時に反応する、いわばレスキュー隊のような役割を果たす。


・リンパ球とILCは、「基本的には」産生できるサイトカインは同じである。
 (発見の経緯にもあるように、条件が揃わなければIL-4の産生ができなかったりするが)


リンパ球とILCは、サイトカイン産生のきっかけとなるシグナルが異なる。
 リンパ球は、TCRを介した抗原刺激がシグナルになり、サイトカインを産生する。
 ILCは、サイトカイン自体がシグナルとなり、別のサイトカインを産生する。


・リンパ球とILCは、それぞれ対応するリンパ球が存在する。
 Th1 ⇔ ILC1  IL-12が刺激となり     IFN-γを産生
 Th2 ⇔ ILC2  IL-22・IL-35が刺激となり  IL-5 IL-13 (IL-4)を産生
 Th17 ⇔ ILC3  IL-1β・IL-23が刺激となり IL-17 IL-22を産生



・ILC2は、
 IL-25・IL-33・CysLT・VIP・神経ペプチド等で刺激され、
 IL-5・IL-13・(特定条件下ではIL-4も)産生する。


・ILC-2は、いまのところ、全ての組織に存在するらしい。
 確か、脳や眼球にもいるらしいと講演では話していた。
 多いのは、①脂肪組織 ②肺


・ILC-2は、比較的原始的な生物にも存在するらしい。(詳細不明)
 感覚的には、
 原始的な生物においては抗原非特異的な=単純な機序で異物を排除し、
 高度な生物においてはより抗原特異的な=より複雑な機序で抗原を排除すると考えれば、しっくりくる。


ILC-2がIL-4を産生するためには、同時にCaシグナルが必要。
 CysLT(ロイコトリエン)RD4を介したシグナルがうんたらかんたら。


・好酸球由来のIRF4がうんたらかんたら。

  • 最終更新:2017-11-24 21:44:09

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